現在の都市部の地価回復のすべてをバブル再来と懸念する声も出ている。しかし、NRIでは、バブル的要素は一部であり、それも調整されつつあると考える。バブルか否かについて着目すべきは、三つの点でバブル期とは不動産投資市場が構造的に異なる点である。まず、不動産を証券化する法制度などが整備されたことで、不動産の流動化が進んだことが市場回復のきっかけとなった。証券化によって、企業は資本効率の改善、資金の調達を行うとともに、不動産を従来のまま活用することが可能になった。
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加えて、複数の投資家が参画する私募ファンド、不動産投資信託(JREIT)を実現する制度が設計され、投資家層を呼び込む素地が形成されてきた。二つ目の要因として、不動産の価格形成のメカニスムが変化したことが挙げられる。バブル期においては、不動産は必ず値上がりするという「土地神話」が成立していた。したがって、不動産を取得したい投資家は、強気の買値を提示し、保有者はさらなる値上がりを期待し保有し続けた。その結果、実取引が行われにくいなか、投資ニーズだけが加速し価格だけが上昇していった。これが、実需や投資採算性を無視した「不動産バブル」である。